グラム陰性菌でアレルギーに
強い免疫細胞を育てる
免疫細胞を教育する環境とは
アレルギー症状を抑えるには、「免疫細胞の教育」が重要だと考えられています。免疫細胞は本来、病原菌やウイルスといった有害な異物を察知して体外へ排除する働きをもっていますが、その判断力は生まれつき備わっているわけではありません。日常生活の中でさまざまな菌と接することで、正確な判断力が育っていきます。
花粉やホコリなど、本来無害な物質に対しても免疫細胞が過剰に反応してしまうのは、それらを病原菌と誤認してしまう「勘違い」が原因です。このような反応を防ぐには、免疫細胞に多種多様な菌の情報をあらかじめインプットしておく必要があります。
ところが、現代人の暮らす都市環境はコンクリートやアスファルトに覆われており、菌が生息する土壌に触れる機会が少なくなっています。除菌・殺菌習慣の普及も加わり、日常的にさまざまな菌と触れ合う機会は大きく減少しました。
このような環境では、免疫細胞が菌の情報を学習できず、無害な花粉やハウスダストに対しても敏感に反応してしまう、勘違いしやすい免疫細胞が増えやすくなります。これが、現代でアレルギー体質の人が増えている一因だと考えられています。
グラム陰性菌を安全に摂取するには
こうした現代の状況を改善するヒントとして注目されているのが、「グラム陰性菌」と呼ばれる菌です。山や川、田畑などの自然の土壌にはグラム陰性菌が多く存在していますが、都市部で暮らす人々が触れる機会はあまりありません。このグラム陰性菌に含まれる情報こそが、アレルギー体質の人に不足しているものであり、この菌の情報を免疫細胞にインプットすることで、花粉症やハウスダストによる鼻炎、アトピー性皮膚炎などさまざまなアレルギー症状の改善が期待できることも分かっています。
ところが、グラム陰性菌には大きな課題があります。それは、グラム陰性菌の多くが、コレラ菌、赤痢菌、チフス菌といった食中毒や伝染病の原因となる病原菌であり、口にできないという点です。これらの菌は健康被害を引き起こす危険性が高いため、免疫細胞を教育する目的で体に取り入れることは現実的ではありません。
アレルギーを改善できるグラム陰性菌
しかし、食中毒や伝染病の
原因菌ばかり!
飲料や食べ物を通じて伝染する
コレラ菌
汚水などで発生する
赤痢菌
腐った食べ物などから発生する
チフス菌
お酢由来の酢酸菌は
安心して摂れるグラム陰性菌
この課題を解決する存在として注目されているのが「酢酸菌」です。酢酸菌はグラム陰性菌に分類されながらも、お酢由来であるため、発酵食品の菌として唯一、安心して食物から体内に取り入れることができるのです。
花粉やホコリなど、本来無害な物質に対しても免疫細胞が過剰に反応してしまうのは、それらを病原菌と誤認してしまう「勘違い」が原因です。このような反応を防ぐには、免疫細胞に多種多様な菌の情報をあらかじめインプットしておく必要があります。
ただし、市販されている一般的なお酢には、ほとんど酢酸菌は含まれていません。これは、お酢の製造過程で発酵が完了した後、濁りを防ぐ目的で、酢酸菌が取り除かれているためです。そのため、酢酸菌をしっかり摂りたい場合は、効率よく補えるサプリメントなどを活用するのがおすすめです。酢酸菌の研究を進めているキユーピーでは、最新の研究成果を公開しています。興味のある方は、ぜひ「酢酸菌 サプリメント」で検索してみてください。

キユーピー株式会社
奥山洋平
キユーピー株式会社入社後、研究所を中心に、経営企画部、マーケティング部、知的財産部を経て現職(免疫・認知プロジェクト 次長)。2012年社内ビジネスコンペでのテーマ選出を契機に、酢酸菌事業化プロジェクトのリーダーに従事。

